こんにちは、KLOSAKIです。
私が以前TarptentのAeon Liがめちゃくちゃ気になっているという話をダラダラと書いた記事は読んでいただけましたでしょうか?もしまだという方がいらっしゃいましたら、まずはそちらから見ていただければ話が早いかもしれませんので是非。
上記の記事にあるようにウダウダと悩んだ結果、散財癖のある私は導かれるかの如くAeon Liを買ってしまいました。そこで買ったからにはちゃんとレビュー記事を書こうということで重い腰を上げ今に至っています。(買ってから数ヶ月経ってます)
実際に使用した環境としては7月の槍ヶ岳山行で、ババ平キャンプ場にてAeon Liを使って二連泊しました。当日の気温は12~3℃程度で天候は晴れ時々曇り。初日に雷を伴う夕立ちにあったので、二泊とはいえど様々なシチュエーションを一気に試せたと思います。とはいえど試し張り+1度の山行で使用しただけですので、あくまでファーストインプレッションだという前提で読んでいただければ幸いです。
それでは早速いってみましょう。
目次
Aeon Liってどんなテント?
まずはおさらいがてら、Aeon Liがどんなテントなのかをご説明します。
1.Tarptent社が製造・販売
このテントはアメリカのTarptentという会社が作っています。
この会社は1999年にHenry Shiresという人がPacific Crest Trail(PCT)を歩くためのシェルターを自作したところに起源があります。そこから翌年の2000年にHenryの奥さんであるCynthia Gilbertさんが今度はそのシェルターを持ってJohn Muir Trail(JMT)に行って、使って見た感想を色々フィードバックして改良を重ねていきました。
そこから2002年にウェブサイトをローンチして以降、高品質な数々の名作テントを生み出しているというメーカーです。

なぜこんな紹介をしたかというとTarptentが非常にモノづくりに定評がある会社だからです。
その根源にはハイカー自らが自分のためにこだわり抜いてMYOGしたテントを制作し続けてきたからだ、ということが歴史から垣間見ることができます。
後ほど詳しく述べますが、Tarptentのテントは細部まで丁寧に仕上げてある上に非常に使い勝手が良いのです。そんなメーカーが作っているテントなので期待しちゃいますよね。
そんなTarptentの歴史を詳しく知りたいという方は公式サイトをご覧ください。結構おもしろいですよ。
2.シングルウォール型のソロ用ワンポールテント
Aeon Liはソロ用のテントです。ULのソロ用テントとしては比較的広めではありますが、二人で寝れるほどのサイズではないので購入を検討される際は完全ソロ想定をおすすめします。

立ち上げ構造としてはティピテント同様にフレームレスのワンポール式です。
ワンポール構造は軽量性重視のULテントでは主流なので説明は不要かと思いますが、フレームがない分軽量化で来ます。一般的には台風性が少しフレームテントよりも劣るという認識ですが、使ってみると意外と強いので気にならなかったりします。(そもそも稜線で暴風雨とかだったらテント云々より避難したほうがいいです)

そして生地はダイニーマ製のシングルウォールです。
写真だとメッシュ地が見えるので一見ダブルウォールのように見えるかもしれませんが、エントランス側にメッシュが一層貼ってあるのみで、他は全て一層で構成されています。
ダブルウォールしか使ったことがないという方はシングルウォールの結露が気になるという方もいらっしゃると思うのでそれについては後述の良かったところ・気になるところで触れていきたいと思います。
ちなみにTarptentのテントはシーム加工が別途必要だと思っている方もいらっしゃるようですが、Lithiumシリーズに関してはすでにシーム加工がされているので不要です。
商品名に「Li」という文字が含まれているものがLithiumシリーズになりますので、当然このAeon Liもシーム加工済みとなります。
3.カタログスペック
その他スペックについてはこちらをご覧ください。
対応人数 | 1 |
対応シーズン | 3+ |
重さ: | |
本体(コード含む) | 490 g / 17.3 oz |
スタッフサック | 10 g / 0.35oz |
ペグ6本(ケース含む) | 51 g / 1.8 oz |
大きさ: | |
内部高さ | 119 cm / 47 in |
フロア幅 | 76 cm / 30 in |
フロア長 | 224 cm / 88 in |
ペグ | 224 cm / 88 in |
ガイライン | 2.5 mm |
収納サイズ | 36 cm x 10 cm / 14 in x 4 in |
特筆すべき点はやはり本体、スタッフサック、ペグを全て合わせても551gという軽量性ですよね。これは少し大きめのお茶のペットボトルと同じで、実際にもってみるとその軽さに驚きます。
当然これに別途ポールを用意する必要はあるのですが、それを含めても600g前半に収まるのは大きな長所でしょう。
ちなみに私はsixmoon designsのカーボンテントポール 116cmを使用しています。
4.重量とサイズの実測値
上記はカタログ上の数値ですが、実測値は全く異なるというのが世の常。
まずは重量から測っていきましょう。

画像のように重量は約574gと20g程度上振れしていますね。ただしこの数値は購入直後のものではなく何度か使用したあとのものなので、土や小石などが混入してる場合があるので純粋なものではないと思います。
ただ上振れしているということ自体は間違いないと思います。
続いて大きさを図ってみましょう。


こちらも38 cm x 12 cmと公式表示の36 cm x 10 cmから2cmほど上振れしています。
こちらについてはパッキングが次第ではカタログ値相当のサイズで収納できる可能性もありますので、そこまで深刻な差異ではないように感じます。
このようにカタログと少し異なる点がありますのでご注意ください。
Aeon Liの良いところ
では本題の実際に使ってみたファーストインプレッションを述べていきたいと思います。
1.ワンポールテント特有の素早い立ち上げ
真っ先に感じた魅力は想像以上にテントの立ち上げが早いということ。時間でいうと初めて試し張りをしたときで4分程度、二回目以降は3分程度で建てることができました。
6箇所ペグダウンしてポールを差し込むだけなので迷うことなく非常にかんたんで、実際のハイクで疲れた身体でテントを建てる際にその魅力を最大限実感することができます。
本当に疲れてるときって何もしたくないんですよね。テント建てるなんてほんとにめんどくさい。そんなときに「ありがてえ~」と心から思うことができます。
これは当然、撤収のときも実感できる魅力ですよね。
荷物はミニマルにまとめていても、意外と作業効率をあげないとハイキングの気持ちよさは上がらないと思うのでこのポイントは非常に重要だと思いました。
2.細部までこだわりを感じる丁寧な作り
前述の通り、Tarptentというメーカー自体が設計や仕上げの品質に高い定評のあるメーカーでそれを実感できる箇所が随所にあります。
まずは縫い目の精度。ほつれが一切ないのはもちろんのこと、程よいテンションで縫われた生地は張り過ぎず弛みすぎずという適切なストレッチで縫われていて非常に扱いやすいですし安心します。
ガレージメーカーの製品で内側の縫い目などを確認すると「まあこれもご愛嬌」という仕上げをたまに見かけることがありますが、そういったことは一切なくさすがハイキングの本場アメリカで高い評価を得ているだけあるなと思いました。


さらには通気孔の確保です。これは購入前から良い設計だなと思っていたのですが、使ってみてやはり素晴らしいと感じました。
Aeon Liはダイニーマ製ということは触れたと思いますがダイニーマという素材は耐水性や軽量性に優れている一方で透湿性に課題があります。つまりは幕内の空気がこもりやすく結露を引き起こしやすい状態になりがちなのです。
にも関わらず換気機構の持たないテントは数多く、ダイニーマ製のテントを求めていた私には悩みのタネでした。しかしAeon Liはちゃんと考慮して設計されており、テント下隅2箇所にベンチレーションを設けてあります。

実際にエントランス部分と合わせてベンチレーションをオープンにしてみると風が抜けるのを実感することができます。
いま人気のローカスギアのクフなどのワンポールテントで換気を行う際は、インナーテントを使用しない限りは虫の侵入を許すことになると思いますが、Aeon Liはバグネット越しに換気が可能なため虫の心配は一切不要です。
過去にブヨで痛い目にあった私にとっては真夏のハイクかつ森林限界以下で行うテント泊で重宝すると確信しました。
3.超軽量なのに安心感がある(雨、虫、風)
一般的に超軽量のテントというのは、なにかを諦めて振り切った設計にしているケースが多いと思います。
例えば、フロアレスだったり、メッシュインナーがなかったり、めちゃくちゃ狭かったり、耐風性が劣っていたり。
そのように用途を限定することでその想定シーンにおいて過不足なく設計するという手法が主流な中、Aeon Liは何も諦めていないなと感じました。
フロアもあるし、虫よけネットはあるし、耐水性も高いし、耐風性も高いし、換気はできるし、一人用にしては広いし、中で普通に座れるほどの高さもある。

たしかにシングルウォールなので結露はしますが、12-13℃で比較的多湿な環境であれば滴るような結露は発生しませんでした。手持ちのタオルでさっと拭き取れる程度のもので、大したストレスなく過ごせます。(ベンチレーションは全開で使用した場合の話です)
このようにULハイカーのこんなテントあったらいいなという夢の仕様をほぼ実現してるように思いました。
4.”今のUL”を感じる外観
最後は見た目です。正直これが一番の購入の動機かつ個人の主観に基づいたもので恐縮なのですが、見た目がとにかくかっこいいのです。
そもそもダイニーマという素材がULをビンビン感じることができてテンションがアガります。

その時代や世界観を反映するようなモノはどの世界にもあると思うのですが、私はダイニーマには今のULっぽさと無骨さを強く感じます。
ULはシルナイロンだろ~という方もいると思いますが、今を感じるという点ではダイニーマのほうが強い気がします。(繰り返しになりますが、個人の感想です)
なので非常に気に入ってるんですよね。
mont-bellのステラリッジが下手したら7割は超えるのではないかという北アルプスのテント場で、やはりダイニーマ製のテントは一際異彩を放っているように感じます。
Aeon Liの気になるところ
続いては逆にこれはちょっとというポイントを説明します。
高い完成度を誇るものの、やはり完璧な商品はこの世にはありません。そこで購入前にいくつか理解しておくべきポイントについて述べたいと思います。
1.入手するハードルが高い
Tarptentは日本国内だと公認の代理店が非常に少ないため、購入するのに少し手間取ります。
moonlight gearさんで扱いはあるもののRainbowなどの複数人用かもしくはソロ用だとProTrailのみの扱いとなっており、2021年8月時点ではAeon Liの扱いはありません。
なので個人輸入で公式サイトから購入するというのがおそらく一番かんたんな方法になります。
この時点で少し面倒くさいのですが、これに加えてハードルとなるのが価格です。
定価535ドルに加えて、個人輸入で購入した場合国際便の送料、関税がざっくりと$100程度が追加でかかります。さらには先程述べたとおり別売りのカーボンポールの購入を加味すると、概算で7万円程度は覚悟しなければいけません。(ポールはトレッキングポールでも代用可能なのでその場合は不要)

これは万が一どこか日本の代理店が扱っていたとしても卸値は対して変わらないのではないかと思います。
かなり大きな出費ですよね。
個人的には前述の良かったところにある通り、非常に素晴らしいテントなので値段に対しては結果的に納得してはいますが、大きな買い物なことには間違いないので10年は使ってやろうと思ってます。
2.雨音が比較的大きい
これはダイニーマという素材の特性なのですが、耐水性に優れている反面、しなやかさはあまりなく広げたりする際にガサガサという音がします。非常に薄いブルーシートをイメージしていただくと良いかもしれません。
そのため雨を弾く音が比較的大きい印象です。
当然シルナイロンも静かではないので少し大きい程度かとは思いますが、寝る際の音に敏感な方は注意が必要です。
動画は雨で地面が緩んだせいで少しテントのテンションが緩んでいる状態であるという前提で見ていただければ幸いです。
私は割とどこでもすぐ寝てしまうタイプなので「まあいいか」と思ってますが、敏感な方は動画みて許容範囲かどうか事前に確認することをおすすめします。
3.パッキングがしづらい
個人的にはこれが一番気になるかもしれません。
Aeon Liは同梱のスタッフサックの収納した場合、実測で42 x 12cmというサイズになります。これが絶妙にパッキングしづらいサイズで、山と道のmini2などに多く採用されているフロントメッシュに入れるとはみ出しすぎるしサイドポケットにはそもそも入らないため、メインポケットに収納する意外の選択肢がないのです。

このサイズになってしまう理由があって、それはTarptent特有の「Pitchloc™」と呼ばれる構造にあります。
これはカーボンファイバーチューブを用いて、ステークを打ち込む際の手間を軽減しつつも構造的強度をあげることのできるTarptentの特許技術です。また副次的に前述のベンチレーション機構を生むことにも一役買っています。

ここで使用している カーボンファイバーチューブがある程度の長さを持っているため、コンパクトに折りたたむことができずに42cmという長さを生み出しているのだと思います。
まあPitchlocについてはメリットのほうが多いと思うので、それを鑑みると許せたりします。
ただ如何にコンパクトにパッキングするかが軽快なハイキングを生み出すかを決めるので、やはりもう数センチでもいいからコンパクトになってくれたら嬉しかったというのが正直なところです。
結局買いなの?Aeon Liはこんなハイカーにおすすめ
以上、色々な視点からAeon Liを紹介させていただきましたが、結論をいうとこのテントは以下のようなハイカーにおすすめします。
- ソロ用で超軽量なテントをお探しの方
- 虫と雨は絶対に防ぎたい方
- できるだけ使用頻度の高いテントをお探しの方
- ある程度出費をしててでも、ハイスペックなテントが欲しい方
いずれにしても基本はしっかりと抑えた上で、ULらしい魅力も兼ね備えたモデルなので個人的には買いだと思っています。
「これさえあれば超軽量なのにどんな山行にも持っていける」という心強さを感じます。
色々な場所に行きたくなる冒険心をくすぐる一品なのではないでしょうか。
最後に
いかがでしたでしょうか?少し長い記事となってしまいましたが、もし最後まで読んでいただけれたならとても嬉しいです。
テントは高い買い物になるので少しでも参考になったならば幸いです。
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